深夜のランダム・ウォーク

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スポーツクラブでは声を出さないようにしてほしいと思った話

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筆者は、健康維持のために、スポーツクラブに通っている。

いつもは昼間に行くのだが、今は仕事の繁忙期のため、利用時間ぎりぎりに行くことになった。

 

そのスポーツクラブは市内の中心にあって、ビルのフロアの半分ぐらいが、トレーニング機器で埋め尽くされている。

 

その一角に、ジョギングマシンが十数台並べて置いてある。

 

筆者がジョギングマシンで数分走った頃、となりのマシンに女性がやってきた。

 

ジョギングマシンは壁際に向かって走るように配置されており、その壁は鏡になっている。

 

その鏡でちらりと女性の顔を確認したところ、おそらく三十代後半だろうか。 

スラリと細身だけれど、走るフォームは綺麗で、マラソンの経験者かな、と思った。

 

そして、その女性が走り始めてから数分後、それは始まった。

 

女性が声を出し始めたのである。

 

「ああっ。ああっ。ああっ」

 

それは、どう考えても、あのときの声である。

 

しかも、走るペースを早めたのか、その声はどんどん苦しげに、さらに大きくなっていく。

 

「ああっ。ああっ。ああっ」

 

鏡越しに、フロア全体のスポーククラブ利用者の目が、こちらに集中していることが分かる。

 

周囲の人たちの表情をみてみると、苦い顔をしている人もいれば、明らかに笑っている人もいる。

 

女性は、声を出していることにも周りからの視線にも気づいていないのか、さらに声が大きくなる。

 

「ああっ。ああっ。ああああああっ」

 

気まずい。ナニこれ、なんの罰ゲーム?

 

あまりの気まずさに離脱しようかと思ったが、フロアの利用終了時間が迫っているし、トレーニングメニューは消化しておきたい。

 

ここは、あえて耐えることにした。

 

相変わらず女性の声は続いている。

 

「ああっ。ああっ。ああああああっ」

 

ホントに気づいてないの?それとも、ワザとやってるの?

何度か、「大丈夫ですか?」と声をかけようかと思ったが、女性の走るペースは落ちていない。

 

どうやら、そういう性癖クセの持ち主なのだろう。

 

おっさんは歳をとるとくしゃみの音がバカでかくなるが、あれに似たようなものなのかもしれない。

 

気まずさとランニングの負荷に耐えつつ、20分ぐらい経過した頃だろうか。

幸いにも、女性が減速ボタンを押し、走るペースを落とした。

 

ああ、これで終わりかな・・・と思った直後、女性が声とともに大きく息を吐いた。

 

「ああああああ~~っ」

 

・・・・絶頂に達して、女性は去っていった。

 

あとからスポーツクラブのスタッフに確認したところ、いつもあんな感じらしい。

今のところ他の利用者から苦情は無いし、ウェイトトレーニングで少なからず声を出す人はいるので、注意はしていないとか。

 

・・・まぁ、人それぞれのやり方はあるのだろうけど。

スポーツクラブではなるべく声を出さないようにしてほしいと思ったという話。

 

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