TVアニメ「空挺ドラゴンズ」が無事最終回を迎えた。
龍と呼ばれる生物が棲息する世界観を舞台に、龍を狩って生計を立てる「龍捕り」たちを描く群像劇。
原作は第8巻まで出ており、レビューの評価も高い良作である。
その空挺ドラゴンズは、フジテレビのアニメ枠『+Ultra』の目に止まり、アニメ化されたわけだが、個人的には原作の魅力を十分に表現したとは言い難い。
むしろ、余計な改変や演出があったことで、感情移入がしにくい、魅力に欠ける残念な作品になってしまった。
前回、誤って船から落ちたタキタは、子供の龍と遭遇する。
最終回では、その子龍を、なんとか群れに返そうとする。
これは原作通りなのだが、その返しに行く過程が最悪だ。
多くの龍が飛んでいる危険な状況で、ジローといっしょにオートジャイロで群れに向かう。
はっきりいって、頭がおかしい人間の所業だ。
たたでさえ、タキタは船から落ちて、クイーンザザのクルーに迷惑をかけた状態にある。このタイミングで龍を返しにいく必要がどこにあるのか。
原作では、ちゃんとタキタは分をわきまえている。
龍が多く飛んでいる状況では、「龍を返しに行けない」と言っている。
龍を返しに行くのも、全部終わったあとだ。
もちろん、オートジャイロも使ってない。クイーンザザから、自分に命綱を付けて、群れの中に飛び込み、龍を返している。
おそらく、『+Ultra』の脚本担当は、こういう状況でオートジャイロで龍を返しにいけば、迫力のあるシーンになる、視聴者が喜ぶとでも考えたのだろう。
しかし、もしそう思っているとするなら、脚本家としてのセンスは皆無だ。
極めつけがこのシーン。
巨大な龍の背中に取り付いたミカとヴァナベル。
そこに、クイーンザザのクルーが、大量に炸薬を詰めた武器を打ち込み、ミカとヴァナベルが吹っ飛び、龍から落ちてしまう。
これも原作には無いシーンだ。
申し訳ないけど、このシーンを入れた人間は、感覚がどこかおかしいと言わざるを得ない。
船から落ちたタキタを心配していた連中が、こんな馬鹿なことをするはずがないだろう。
とにかく、『+Ultra』の空挺ドラゴンズは、終始こんな調子だ。
こういうくだらない演出は入るけど、逆に原作にある良いシーンや台詞はカットされている。
きっと、この脚本や演出を考えたスタッフは、この原作に対して思い入れも何もないのだろう。原作の世界感は二の次にして、派手なシーンを入れれば「アニメ映え」すると勘違いしているのではないか。
と罵詈雑言を書いてしまったが、原作は良い作品なのに、アニメ、特に最終回は残念な感じだったので書かずにいられなかった。
きっと原作者も、アニメはおかしなことしてんなーとか思ってるんじゃなかろうか。あくまで、個人的な邪推ではあるが。