TVアニメ「ジビエート」は、2018年に起ち上げられた日本のクロスメディア企画、『GIBIATE PROECT』の一つである。
このプロジェクトに参加するスタッフは、実に豪華。
ファイナルファンタジーのキャラクターをデザインした天野喜孝氏。
津軽三味線奏者の吉田兄弟や書道家の紫舟氏、刀鍛冶の石田四郎國壽氏、日本人形職人の金林真多呂氏、三味線職人の小松英雄氏などを迎える。
原作・総指揮を務めるのは、脚本家の青木良氏。その青木氏と、キャラクターをデザインした天野氏のインタビュー記事を、以下のリンクで読むことができる。
要するに、この「ジビエート」は、日本が誇るクリエイターが考える、グローバルスタンダードということでよろしいか。
グローバルスタンダードはいいとして、インタビューのなかで、なかなか興味深いことを語っている。
- 日本のアニメはガラパゴス化しつつある。日本のファンの期待に応えるため、外国人には理解しづらい部分が多くなってきている。
- 米国の場合、ハリウッド映画は都会から田舎まで何千カ所もの映画館で上映される。だから、高い教育を受けていない人が見ても分かるように、ストーリーは単純にしなければならない。
いいのか、これ。海外の人がこのインタビュー読んだら、気分を悪くするんじゃないか。
そのせいか、ジビエートのストーリーは単純だ。
現代の地球上に、謎のウィルスが蔓延し、ウィルスに感染した人間は、「ジビエ」と呼ばれる怪物になり、多くの人類が失われた。そこへ、タイムスリップしてきた侍と忍者が、ジビエとの戦いを繰り広げる。
確かに分かりやすいといえば分かりやすい。
だがしかし、脚本がダメすぎる。
30分の間に、ツッコミどころは1つや2つじゃない。
分かりやすいストーリーは必要だとしても、必要最低限のリアリティは必要だろう。
実際には、タイムスリッパーなんて、そうあっさりと受け入れられるわけがない。
ターミネーターをみてみろ。サラ・コナーは、とりあえず最初は逃げようとしたぞ。
この脚本を書いているのは、「脚本家」の青木良氏なのだろうか?
コンセプトは分かったけれど、話が面白くなかったり、不都合が多すぎると、高い教育を受けていない海外の人にもウケないんじゃないか。
そもそも、青木良氏とは何者なのだ?
ネットで検索しても、wikiは無いし、ほとんど情報が出てこない。
天野喜孝氏と仲が良さそうなので、この業界に対して、顔は広いのかもしれない。
今までは表に出ず、陰ながら活動してきたということなのだろうか。それにしても、まったく作品に関わった記録がみられないというのは不思議だ。
脚本以外のところでも、おかしなところは多数。
ジビエの造形や動きは良いとはいえなかったり、現代科学ではありえないテーザー銃が出てきたり、ジビエが外にいっぱいる危険な状況で、前田さんが一人で刀を取りに行ったり。
それと、ここも突っ込んでおきたい。
キャンプに来た千水と兼六をみて、住民たちは「変な格好」という。しかし、キャラデザをみる限り、それほど変な格好ではない。
おそらくこれは、これまでなんらかの作品をみてきた先入観で書いたセリフだろう。
羽織袴、チョンマゲの侍がタイムスリップしてきたら、「変な格好」は分かる。しかし、マゲ無し、普通の着物の二人に対しては、当てはまらないんじゃないか。
自分も、アベンジャーズやターミネーター等、大ヒットを飛ばしたハリウッドの映画を数多くみてきたが、このジビエートの第1話のように、おかしなひっかかりを感じる作品は少なかったように思う。
逆に、ハリウッドの中でも、おかしな作品はあり、それらはちゃんと批判を受けている。そういった観点から考えると、このジビエートが海外で受け入れられるとは到底思えない。
まぁ、中には、自分が面白いとは思えない作品が海外でヒットしていたりもするし、このジビエートがウケる可能性があるのかもしれない。
それにしてもねぇ・・・・。ジビエの造形も微妙だなぁ。
話としては興味がひかれないけれど、アニメとしての違う部分での興味本位で、しばらく視聴を継続してみようか。